研修や学習の新しいカタチ“ブレンディッドラーニング”とは
春は新入社員や新入生を迎え、新たな出会いが多くある季節。でも、新しい人を組織に迎え入れるとなると、その分教育や学習をしなければなりませんよね。当然、企業においては研修期間や伴う教育コストが生じるわけで。
座学やOJT(On-the-Job Training:職場内訓練)等、色々な形の学習形態があると思いますが、今回はその中でも “ブレンディッドラーニング”という新しい研修のカタチをご紹介したいと思います。
春は新入社員や新入生を迎え、新たな出会いが多くある季節。でも、新しい人を組織に迎え入れるとなると、その分教育や学習をしなければなりませんよね。当然、企業においては研修期間や伴う教育コストが生じるわけで。
座学やOJT(On-the-Job Training:職場内訓練)等、色々な形の学習形態があると思いますが、今回はその中でも “ブレンディッドラーニング”という新しい研修のカタチをご紹介したいと思います。
更新日:2024年6月1日
- 【目次】
- ブレンディッドラーニングって?
- オフライン研修(集合研修)
- オンライン研修(eラーニング)
- ブレンディッドラーニングの登場
- ブレンディッドラーニングの利点
- ブレンディッドラーニングを活用した例
- ブレンディッドラーニングの課題点とこれから
ブレンディッドラーニングって?
ブレンディッドラーニング(Blended Learning)とは、対面して皆で受講するオフライン研修(集合研修)やオンラインで行うeラーニング、ビデオ視聴等の動画研修など、様々な学習方法の良いところを混ぜ合わせた、いわゆるブレンドした研修手法です。ハイブリッド型ですね。
新型ウィルス禍やDX化の波の中で、オンライン研修が流行し各社それぞれ学習形態を模索してきました。そして新型ウィルスの収束後に対面化が復調した昨今、オンライン研修の長所短所やオフライン研修である集合研修の良さ等が見直され、「それらの良いところを組み合わせた研修形態を作ろう」という意図で生み出されたのがブレンディッドラーニングというわけですね。ハイブリッドラーニングという言葉でも良いような気がしますが…ハイブリッドは異なるものを組み合わせた印象がありますが、ブレンドは色々なものを混ぜ合わせたという印象があり、今回の研修方法はブレンドした感が強いので、ブレンディッドラーニングと呼んでいるのでしょう。
さて、ブレンディッドラーニングの話に触れる前に、そもそもオフラインとなる集合研修とオンライン研修となるeラーニングの良い点と悪い点を洗い出してみましょう。
オフライン研修(集合研修)
オフライン研修では、主に会議室等を利用して受講生を一同に集め、開催側が講師となって説明したり、ファシリテーターやMCとなって進行したりする研修形態です。全員が同じ空間で時間を共にするため研修の中におけるニュアンスの共有や受講姿勢の(良い意味での)強制力、一体感やマインド作り等、目に見えない効果が期待できます。いわゆる「空気感を作れる」というものです。
一方で、同じ研修内容と研修時間をかけても受講生ごとに理解度は異なります。オフラインにおける集合研修では、そんな受講生へのケアがしづらく、それでいて全員に同じ場所と時間の拘束力が発生してしまうため、受講生にとって合う/合わないが生じてしまうのも事実です。つまりオフライン研修には全員が一堂に会することによる目に見えない長所がある一方、個人スキルに向き合えないという短所もあるわけです。
オフライン研修の長所・短所
長所 |
同じ空間に一堂が会するため… ・同じ空間で受講することの一体感やマインド作り ・強制的に受講させられる(欠席や怠惰的姿勢の抑止) |
---|---|
短所 |
個人スキル単位で合わせられないため… ・受講生毎に向き不向きが生じる ・個人インプットへのばらつきが生じる |
オンライン研修(eラーニング)
オンライン研修には様々な方法があります。ライブ配信とチャットによる1対不特定多数の講義形態もありますが、それですとオフライン研修のバーチャル版に過ぎない形態となり、オフライン研修の長所短所と類似しますので、ここでは個人のeラーニングを念頭に置いて解説します。
例えば、講師側がYouTube等に公開したURLを共有することで、そのURLを知っている誰しもが自分のペース――つまり閲覧・学習したい時間や場所で動画視聴できます。動画内での研修で理解が追いつかないところは一時停止したり巻き戻したりすれば何度でも聴き直せますし、自分の学習能力に合わせて研修を受けられるわけです。
ただしオンライン研修の場合、同じ受講生同士の顔が見えないどころか、他の受講生の理解力も想像できず、そもそも受講生が何人いるかも分からないため不安を感じることもあると思います。オフライン研修の時の長所であった目に見えない一体感や空気感を得られないという、オンラインならではの短所があります。
オンライン研修の長所・短所
長所 |
自分のペースで学習できるため… ・時間や場所に囚われず受講できる ・学習能力に合わせて巻き戻しや視聴のし直しも可能 |
---|---|
短所 |
他の受講生の顔が見えないため… ・一体感や空気感を得られない ・自分の学習能力を相対的に把握できない |
ブレンディッドラーニングの登場
ここまでご説明すれば、「オフライン研修とオンライン研修における各短所を補い合う研修ができれば、それは最高の形態になるのではないか」と思いますよね。つまり、空気感や一体感を掴みながら、個々の学習能力に合わせて講義や学習が進められたら、それは最も適した研修形態になり得ます。
そこで登場したのがブレンディッドラーニングです。ブレンディッドラーニングはそのオフラインとオンラインの良いところを混ぜ合わせた(ブレンドした)研修方法なのです。
ブレンディッドラーニングの利点
ブレンディッドラーニングとは、なにもライブ配信と集合研修を同時開催することを指すわけではございません。例えば、まずは個別に動画視聴を促し、個々の学習能力やスピードに合わせてしっかり理解してもらいます。そして、後日あらためて一堂に会して集合研修やワークショップをしたり、質疑応答を行ったりすることで理解を深める方法があります。これにより個人がより深く理解しつつ、一体感や空気感も作れるという利点が生じるのです。
とはいえ、ブレンディッドラーニングは立体的な組み立てが必要であり、学習プロセスにおける各人の理解度を仮説付けながらカリキュラム化することで効果を発揮します。そのため事前準備や事前分析がとても重要です。経費削減できる部分等もあるかもしれませんが、主催者側にはオフライン研修単体やオンライン研修単体より余程入念な戦略が要されると思われます。とはいえ、ブレンディッドラーニングが受講者に上手く嚙み合った時のインプット具合は最強です。
ブレンディッドラーニングを活用した例
ここで当社を利用した企業様から聞いた実際に行ったブレンディッドラーニング例を2つほど、ご紹介します。
A社が新入社員研修時に行ったブレンディッドラーニング
- 第1講として、新入社員に対して、予め作成した学習動画とその後のアンケート型のテストを実施。一定の期間を設け、その中で新入社員は好きに受講することができるが、後に筆記テストがあることを周知したうえで、アンケート型のテストもオンライン実施できるようにし、模擬テストとして個人単位で何度でも受けられるようにした。
- 第2講として、新入社員を会議室に集め筆記テストを実施。テスト後は、すぐにその場で答え合わせを行い、同時に理解できなかった点や応用方法等、質疑応答形式で実施。
- その後の第3講として、新入社員をグループに分け、それぞれのグループに課題を課し、一定期間後に全員に課題解決策のプレゼンテーションを行ってもらうと予告。期日までにグループは各自で集まりミーティングを繰り返すよう促す一方で、集まり方、ミーティング方法等は各グループに一任。
- 最終講(第4講)として、グループ毎に他の新卒社員に向けてWeb会議で課題解決の提案をさせ、どこのグループが一番良かったか決め、優勝グループにインセンティブを付与するプレゼン大会を実施。
オンライン研修の長所・短所
オフライン研修 | オンライン研修 | |
---|---|---|
第1講 | - | ・学習動画 ・アンケート型テスト実施 |
第2講 | ・筆記テストを実施 ・答え合わせと質疑応答 |
- |
第3講 | 新入社員をグルーピングして、グループ毎に課題を提起。解決策発表に向けてグループ毎にミーティングや宿題を強要するものの、集合方法やディスカッション形式はグループ毎にお任せ | |
第4講 | - | ・プレゼン大会を実施 ・プレゼンはWeb会議形式 ・優勝グループにはインセンティブ付与 |
これによって、基礎学習を個人にしてもらい、全員で陥りがちなミスや難しい箇所を理解し、その後新入同士でコミュニケーションを図りつつ、最終的に(現在主流となりつつある)Web会議での提案に慣れるという狙いがあったとのことです。優勝者にはインセンティブが付与されるという点も新入社員の中では話題となり、会社に対するエンゲージメントも高まり、非常に効果的であったとうかがいました。
B社が行った業務研修におけるブレンディッドラーニング
B社は業務マニュアルの徹底や社内マナー、ルール作り形成のために以下の方法を採用したとのことです。
- オフライン研修(集合研修)にてひと通り社員に対して講義を開催。
- 後日オフラインにてテストを実施。
- テスト回答で受講生が各人で間違った箇所について、その間違った箇所専用の研修URLを各自に合わせて配布し徹底学習してもらう。
- 再テストし、100点を取るまで継続する。
B社の業務研修時のブレンディッドラーニング
オフライン研修 | オンライン研修 | |
---|---|---|
第1講 | ・業務研修をひと通り講義として実施 | - |
第2講 | ・ 筆記テストを実施 | - |
第3講 | - | 各人毎に、テストで不正解だった部分のレクチャーURLを送付し、各人のペースで何度も学習してもらう |
第4講 | ・筆記テストを実施 ・100点取るまで第3講を繰り返す |
- |
これによって、誰かの学習遅延によって他の受講生に迷惑が生じることも無くなり、また最初にオフラインで空気感を理解させることで、後は個人の学習能力次第という体裁をつくり、落ちこぼれないよう各人が必死に覚えるというメカニズムの構築に成功したと聞いています。
ブレンディッドラーニングの課題点とこれから
前項で挙げた例をご覧いただいてもお分かりになる通り、ブレンディッドラーニングとは受講生側が効率良くインプット/アウトプットできるシステムであって、主催者側が楽になる方法ではありません。繰り返しになりますが、主催者側にはオフライン研修だけ行うよりも、またオンライン研修だけ行うよりも、はるかに入念なロードマップが必要であり、用意周到に開催することが重要です。そしてそれがゆえに受講者の成長という見返りも大きいのです。
ブレンディッドラーニングの課題とは、そういった戦略的ロードマップの形成であり、そこに投資する人件費を視野に入れなければならないということです。
今後、以下の課題をお持ちの企業様や研修主催者のご担当者様は是非私たちミーティングスペースAPにご相談ください。
- 自社の会議室だけではフォローしきれない研修を考えている
- 自社の会議室の設備や広さ、エリアでは限界がある
- 自社で会議室を持っていない
- 一日がかりで研修するため、ケータリングや研修以外のサポートが必要
目的とご利用意図に合わせて最適な会議室や利用方法をご提案させていだきます。
仕事や就職活動において明らかに売り手市場となっている昨今、企業側も「テレワーク待遇/テレワーク優遇」とすることでオフィス賃料も削減できる一方で、研修方法や社員招集も難しくなってきています。
主催者側は上手くブレンディッドラーニングを取り入れ、社員教育や育成を効率的に実行してみてはいかがでしょうか?